日頃から愛犬・愛猫のお手入れをしてあげていると、違和感にも気付きやすくなります。
ふとした時に感じる違和感は大事にして下さい。
それに気付けるということは、獣医さんでもかなわない、飼い主さんだけの特権です。
健康な状態をしっかり覚えておき、不測の事態に備えて下さい。
マラセチアの独特の症状ば匂い
あれ?匂いがいつもとは違う。どこから臭うんだろう?
そんな違和感に気付いたら、原因を探って下さい。今回は耳の中から、いつもとは違う匂いがしたという前提でお話をしていきたいと思います。
耳の中から発酵臭の様なすっぱい、独特の匂いがする。しかも耳垢が黒褐色、もしくは褐色(時に黄色や淡黄色のこともあります)。
もしかしたらそれ、マラセチアが原因かもしれません。
マラセチア(Malassezia pachydermatoms)は真菌の一種で、酵母菌と呼ばれているものです。
常在菌といって、健康な子でも体の表面の皮膚や耳の中、口の周り、肛門、膣などに当たり前に存在している菌です。
なので他から移ることはありません。
犬の皮膚(猫ではまれです)、特に外耳道に常在し、病原性は低いのですが、外耳炎・皮膚炎・アレルギー性疾患等に日和見感染的に繁殖増殖し、症状を悪化させます。
日和見感染とは通常はほとんどが問題にならない病原体や常在菌などが、宿主の抵抗力が何らかの原因で低下した場合に起こす感染症のことです。
体のコンディションが悪いと色々なものを引き寄せてしまうので、泣きっ面に蜂のような事態は避けてあげて下さいね。
マラセチア皮脂腺から出る皮脂を食べる
マラセチアは脂質や湿度のある場所をとても好み、毛穴の奥にある皮脂腺から出る皮脂を食べて増殖します。
マラセチアに侵された外耳道は炎症して赤くなり、痒みを引き起こし、耳を振ったり後ろ足等で耳の周辺を引っかいたりする仕草がよく見られるようになります。
また、脂漏性皮膚炎を起こし、アトピー性皮膚炎の悪化因子としても注目されています。
マラセチアの治療は薬用シャンプーが一般的
マラセチアに感染した場合の治療法は、ミコナゾールの投与です。耳なら点耳薬、全身性なら薬用シャンプーを使ってあげます。
具体的な商品名の一例を挙げますと、点耳薬ならエアソティック点耳薬、全身に使う薬用シャンプーならマラセブなどです。
名前が違っても主成分や効果が同じものもたくさんありますので、かかりつけの動物病院で処方されたものを使ってあげて下さい。
完治には多少時間がかかるかもしれません。
個人的な見解を述べさせていただくと、皮膚疾患に関しては特に、症状が現れるまでの期間に比べ、治療期間のほうが倍以上かかることが多いような気がします。
それでもあきらめずに治療を続けてあげて下さい。
良くなってきたところで治療を打ち切ってしまい、ぶり返してしまったケースが一番多いのも、この皮膚疾患です。
愛犬・愛猫にとってよりよい生活が送れるように、日頃のケアを大切にしてあげて下さい。
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